On The Balcony, 1/2

《Cast a cold eye / On life, On death / Horseman, pass by!》この制作は2018年5月から始まり、2019年10月位現在まで続いている。「On The Balcony」はその制作の内部から立ち上がった些細な音色なのかもしれない……と冒頭に置いておく。「On life, On death…… On life, On death…… 」と走りながら暗唱していた詩が、時間の経過と行為の積み重ねによって言葉の外から内側へ、身体の外から内へ内へと迫るようになってきた。以下、覚書。

書籍用紙にオイルパステルで描いたドローイングがある。210mm×297mmの紙を2つに折り、片面にだけ描いて、汚さないために再び逆方向に折り返して閉じている。主に外出先のテーブルや移動中の膝の上で描きあげたものだ。何も描かれていない片面には圧着されていたオイルパステルの色素が僅かに滲んでいる。この一連の行為は継続しなければならないと決めて数カ月を過ごしていた。絵の内容は、御百度参りにトレイルランニングを加味して風景を記憶する実践、祈りの秘匿性と身体化、他人の体内から摘出した癌組織とその触感、医療者と患者を同等の権利の元でつなぐインフォームド・コンセント(英: informed consent)と制作の類似性等を限られた状況の中で素早くイメージに起こして描き残すという目的があった。描きあげたものは2019年1月の時点で100枚を越えている。

紆余曲折ありながら、この制作も私自身も無事に冬を越すことができ、春を過ぎて、夏らしくない夏を迎えた。気候変動の影響もあるのか冬場と夏場の湿気対策は例年以上に苦労した。傷みやすい多くの紙の素材と作品はアトリエの奥の方に保管していた。9月9日の久しぶりによく晴れた日の正午過ぎ、思い立って作品、材料、本の整理を始めた。《Cast a cold eye / On life, On death / Horseman, pass by!》は防湿対策を厳重に施していたが、状態を確認する上でも丁寧に虫干しを行うことにした。

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