「怪物君、歌垣」吉増剛造展 案内状について 2015年

印刷:木版、活版、凸版、ゴム版、オフセット
部数:2枚1組、250部
製作:中嶋幸治 + 酒井博史(日章堂印房)
写真:中嶋幸治 《垣根考》2015年(紙、糸、マラブー)

今展「怪物君、歌垣」の題字六字から「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに八重垣作る その八重垣を」(古事記)を新たに連想し、また、これまでのテンポラリースペースにおける吉増剛造展を踏まえ、詩の草稿の筆跡と色彩を平面状のマス目から雲の様に立ち上らせようと試みた。そこには言葉から羽化するような「怪物君」の甘美な姿を想像していたのかもしれない。誰もが孤独の内に抱えるであろう、様々な垣根とその垣根の向こう側の景色を、疎ましさを、努力によって克服すること、想像すること、その事態をわれわれ人間は謳歌できるのではないだろうかと考察する。